不動産特定共同事業

電子取引業務(クラウドファンディング)のメリット・デメリット

電子取引業務のメリット・デメリット(不動産特定共同事業)

不動産特定共同事業において事業者がクラウドファンディングを行うためには、業務を遂行するためのシステム(電子取引サイト)を構築し、かつ、業務体制を整備し、電子取引業務を行うための認可を監督官庁から受ける必要があるため、

投資家にとってのクラウドファンディングのメリット・デメリット

事業者にとってのクラウドファンディングのメリット・デメリット

を理解した上で、自社がクラウドファンディングによる投資家募集を行う必要があるかどうかを慎重に検討するのが望ましいです。

投資家にとってのメリット・デメリット

まずは、不動産特定共同事業商品をクラウドファンディング化した場合の、投資家にとってのメリットとデメリットを整理します。

投資家にとってのメリット

クラウドファンディングの場合は、商品内容の確認から申し込み、契約手続、決算報告までをすべてネット上で完結できるため、手元の書類が増えることなく、迅速・手軽に不動産投資商品への出資を行うことができます。

不動産特定共同事業商品の場合は、商品パンフレット、契約成立前交付書面、契約成立時交付書面、財産管理報告書といった様々な契約書類やレポートなどがあるため、かなりのページ数の書類を保管する必要がありますが、これらがペーパレス化されネット上で管理できるのは、投資家にとっての管理の手間の大幅な削減に繋がります。

また、クラウドファンディングでは、契約手続きのために投資家が事業者の事務所に出向く必要がなく、契約書類への記入や本人確認書類の送付などがすべてパソコンやスマホなどを利用して円滑に行うことができるため、投資家が投資のための行動に割く時間や手間の削減にもなります。

投資家にとってのデメリット

ネット上で投資商品管理がすべてできてしまう便利さがある一方で、投資家がしっかり情報管理を行なっていない場合には、自分がどの商品に投資しているのかを忘れてしまったり、投資家が亡くなった際に、どの商品に投資しているのかを相続人が把握するのが困難になるリスクがあります。


事業者にとってのメリット・デメリット

クラウドファンディングを導入することは、不動産特定共同事業を運営する事業者にメリットだけをもたらすわけではなく、デメリットも生じるため、双方をしっかり理解しておく必要があります。

事業者にとってのメリット

商品数や投資家数が多くなる場合に、運営システムにて一元管理できるため、書面での契約手続を行う場合に比べて効率的な事業運営を行うことができます。

また、様々な業務をシステムにより自動化することにより、業務におけるヒューマンエラーを小さくすることができます。

事業者にとってのデメリット

システムの構築を外注する場合には、導入の際のイニシャルコストがかかるだけでなく、サーバー保守費用やトラブル対応費用などのランニングコストがかかります。自社で構築する場合には、システム構築・運用に必要な能力を有するエンジニアを社員とする必要があるため、その分の人件費が継続的にかかります。

また、システムトラブルが生じた場合や改善が必要になった際には、迅速に対応する必要がありますが、外注の場合には迅速に対応できるかどうかは外注先次第であるというリスクを抱えることになります。

また、匿名組合型商品をクラウドファンディングで販売する場合、不動産特定共同事業(第1号事業)の匿名組合型商品の場合は対象不動産を事業者のオンバランス(資産)のまま事業化するため、出資持分の販売により売上計上することができないことから、システム構築・運用に必要な資金をどのように回収するか検討する必要があります。


事業者におけるクラウドファンディングの検討ポイント

上記の投資家・事業者双方のメリット・デメリットを理解した上で、自社が事業化を検討している商品がクラウドファンディング化にマッチしているか、システムへの投下資金をどのように回収するか、コストに見合ったリターンが得られるのか、事業及びシステムを適切に管理運営する業務体制を整備できるのかといった視点から、クラウドファンディング導入の要否を検討することが望ましいです。


電子取引業務とは(不動産特定共同事業)
電子取引業務とは(不動産特定共同事業のクラウドファンディング)

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